〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

啄木に憧れて同じ道を選んだ?


[ミゾソバ]


<北の文人 立ち話 高山美香>

啄木との忘れ得ぬ一夜 寺島柾史

  • 根室が生んだ小説家、寺島柾史(政司)は、歴史から童話、科学まで幅広い作品を書いたすごい作家です。
  • 大工だった父の仕事を継ぐはずが、花咲小学校の文学青年教師の影響を受け文学に傾倒。13歳から詩作に励み、文学雑誌に詩と小説を投稿し北原白秋田山花袋に絶賛されました。
  • 寺島少年は石川啄木の大ファンでした。文芸誌「明星」に耽溺し、ファンレターを啄木に出して返事をもらったことも。啄木が釧路新聞の記者をしていると知り「一目でよいから」と14歳の時に啄木を訪ねました。啄木は芸者遊びにふけっていて第一印象は最悪でしたが、深夜に啄木の下宿で語りあった時の姿は憧れの人そのものだったそうです。
  • 寺島柾史が新聞記者になり作家の道を選んだ背景には、啄木への憧れがあったのではと思ってしまいます。寺島少年にとって釧路での一夜は忘れられぬ強烈なものになったのは間違いないでしょう。

 ◇寺島柾史(1893-1952)。代表作「鹿鳴館時代」「湖畔の随想」「孤島病」。
(2011-10-14 朝日新聞>マイタウン>北海道)