〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

石川啄木「『一握の砂』から100年」シンポジウム


[カエデ]


石川啄木:シンポジウム「『一握の砂』から100年」
 マイホーム主義、「へなぶり」も議論に

  • 日本現代詩歌文学館開館20周年を記念するシンポジウム「『一握の砂』から100年−−啄木の現在」が、同館で開かれた。
  • 毎日歌壇選者でもある篠館長の司会で、詩人の高橋睦郎さん、歌人の小池光さん、三枝昂之さん、俳人の宮坂静生さんが、啄木作品の魅力を語り合った。
  • <友がみなわれよりえらく見ゆる日よ/花を買ひ来て/妻としたしむ>について、三枝さんは「家族詠」のはしりで、当時はほとんどなかった「マイホーム主義の歌」と指摘。「現実の啄木は花を買って帰ったりしない。あくまで歌の中での話だ」と論じた。これに対し、小池さんは「フィクションというより、願望だと思う」と語った。
  • 一方、啄木短歌の本質を示す言葉として「へなぶり」に注目が集まった。
  • 貧困を描いた啄木作品は「ワーキングプアが問題となる今の時代の空気をぴったりつかみ取っている」といった発言も関心を引いた。

(2010-06-16 毎日新聞 東京夕刊)