〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「石川はえらかったな、」土岐善麿


【ザクロ】


「<次代への名言>土岐善麿
  哀しきは、
  職業のある、その事を幸福とする、
   いまの、心かな。
     (土岐善麿

  • 土岐善麿(哀果)は、明治18(1885)年のきょう、浅草に生まれ、満95歳に2カ月少し足らない長寿をまっとうした。

  しりあひの巡査の肩を/たたきしに、/ぱつと埃(ほこり)が浮びたり、冬。

  • 明治末、親友の石川啄木とともに時代を画した歌人でもある。三行書きの短歌形式をいち早く取り入れた先覚者だった。
  • はじめ善麿は啄木を「きざなやつだ」と思った。が、人生の辛酸を嘗めてなお、前を向く晩年の啄木の姿に打たれて親友となり、啄木の遺稿『悲しき玩具』は、託された善麿によって世に出る。

  石川はえらかったな、と/おちつけば、/しみじみと思ふなり、今も。

(2009-06-08 産経ニュース>文化>学術)