【ノブドウ】
「啄木の短歌、賢治の短歌」盛岡タイムス連載中
盛岡大学長 望月善次
第63回 兵隊 背後と事象
- 啄木の短歌
一隊の兵を見送りて
かなしかり
何ぞ彼等のうれひ無げなる
- 賢治の短歌
皮とらぬ芋の煮たるを配られし
兵隊たちをあはれみしかな。
-
- 啄木歌は、「兵」の背後に権力構造の国家を見ているから「何ぞ彼等のうれひ無げなる」となり、「かなしかり」となるのである。
- 賢治歌は、あくまで兵の事象そのものを見る。その範囲で「あはれみしかな」という感慨を持つ。「非政治的」なのである。
(2008-09-02 盛岡タイムス)