〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「ローマ字日記」浮世小路の奥、小奴に似た女を…

  
ヤマボウシの実】


「ローマ字日記 1909年(明治42)5月1日」

給料の前借が首尾よくいった石川啄木は……

  • 「行くな! 行くな!」と思いながら足は千束町へ向かった。
  • 白い手が格子の間から出て予の袖を捕らえた。フラフラとして入った。
  • ああ、その女は! 名は花子、年は十七。一眼見て予はすぐそう思った
  • " Ah ! Koyakko da ! Koyakko wo futatsu mitsu wakakushita Kao da ! " 
  • 狭い、汚い家だ。…壁は黒く、畳は腐れて、屋根裏がみえた。…二畳ばかりの狭い部屋に入ると、床が敷いてあった……
  • Kasuka na Akari ni ji' to Onna no Kao wo miru to, marui, shiroi, Koyakko sono mama no Kao ga usu-kurai naka ni po' to ukande mieru. Yo wa Me mo hosoku naru hodo uttori to shita Kokochi ni natte shimatta.

 

浮世小路は、この世とあの世の間にあるようだ。そこを行き来している啄木が、淡いランプの光の中に浮かび上がってくる。
小説ではあまり才能を発揮できなかった啄木だが、すごい描写だと(行動は別として)思う。


つづきはこちら→ローマ字日記「1909年(明治42)5月1日」