「残すべき歌論2」 土岐善麿(ー) 篠 弘
- これほど短歌結社と無縁であった歌人は少ない。善麿は結社誌をもたなかったばかりではない。
- 啄木が善麿の第一歌集を評価したことは有名である。「NAKIWARAIを読む」で、もっとも「歌人らしくない歌人」として、その作品に「歌らしい歌が少い」ことに着目していた。
- 「日常生活の中から自ら歌になってゐる部分だけを一寸々々摘み出して、其れを寧ろ不真面目ぢやないかと思はれる程の正直を以て其儘歌つた」ものとして、日常の生活がモチーフとなったことを認める。生活から詩が剔出されたのが革新的であった。
雑誌「短歌」平成19年2月号 角川学芸出版