〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「思想性の特質解明」若林 敦

新潟日報 2006年8月6日 <にいがたの一冊>
「思想性の特質解明」若林 敦
  池田功・著『石川啄木 国際性への視座』(おうふう)の紹介

啄木の歌「地図の上朝鮮国にくろぐろと墨をぬりつゝ秋風を聴く」この歌は<亡国>を悼む歌であると著者は言う。
<亡国>への関心は、裏返せば、啄木のナショナリズムの強さを物語る。だが、著者はそこに、「日本賛美」とは異質の、他国の民衆との連帯に開かれたナショナリズムのあり方を見いだしている。

「むらさきの袖垂れて/空を見上げゐる支那人ありき/公園の午後」の歌には故国に思いを寄せる中国人への温かいまなざしが感じられると著者は言う。