〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

赤貧を詠んだ啄木の歌が100年前のものだったとは…


[紅葉]


正平調 -神戸新聞-

  • 石川啄木は労働を題材に、こんな歌を詠んだ。「こころよき疲れなるかな/息もつかず/仕事をしたる後(のち)のこの疲れ」。
  • 啄木は新聞社で働いたことがある。締め切り間際まで原稿と格闘し、ゲラを点検する。刷り上がった新聞を手にしたときの充実感。仕事を分かち合うことで社会は成り立つ。自分も役に立っていると実感する。
  • 総務省によると今や非正規は約4割。比例して所得の低い層も増えた。2012年の時点で年収300万円未満の労働者が占める割合は52.2%に達し、2人に1人が低所得者だと。(「雇用身分社会」森岡孝二 著)
  • 「はたらけど/はたらけど猶(なお)わが生活(くらし)楽にならざり/ぢつと手を見る」。赤貧を詠んだ啄木の歌が約100年前の作品と思えない。

(2015-11-24 神戸新聞

────────────────────────────────────