正平調 -神戸新聞-
- 石川啄木は労働を題材に、こんな歌を詠んだ。「こころよき疲れなるかな/息もつかず/仕事をしたる後(のち)のこの疲れ」。
- 啄木は新聞社で働いたことがある。締め切り間際まで原稿と格闘し、ゲラを点検する。刷り上がった新聞を手にしたときの充実感。仕事を分かち合うことで社会は成り立つ。自分も役に立っていると実感する。
- 「はたらけど/はたらけど猶(なお)わが生活(くらし)楽にならざり/ぢつと手を見る」。赤貧を詠んだ啄木の歌が約100年前の作品と思えない。
(2015-11-24 神戸新聞)
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