〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

きょうのコラム「時鐘」

  • 十(とお)で神童、十五(じゅうご)で秀才、二十歳(はたち)過ぎればただの人、というのは言葉だけでなくて現実にもよくある。
  • 神童と呼ばれた詩人・石川啄木が中学に合格した時の成績が確認された。128人中10番だったという。1歳早い進学だから「さすが啄木」と言いたいが、上に9人もいたのなら神童とは言えない。十五で秀才の方が納得しやすい。
  • むしろ、啄木より上の9人が、どんな人生を歩んだのか気になるところだ。こんな詩がある。「友はみなある日四方に散り行きぬその後八年(やとせ)名挙(なあ)げしもなし」。啄木も気になっていたのだろうか。

(2013-07-15 北國新聞>きょうのコラム「時鐘」)