〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

特別賞:石川啄木父子歌碑記念短歌大会・高知 <その4>


[サザンカ]


==JR高知駅前の『啄木父子歌碑建立3周年』記念短歌大会==
特別賞の発表
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  • 啄木特別賞

   忘れよう忘れようとも心に残る一時のあやまち若気のいたりか?
    石川真一 東京都世田谷区

   「かなしきは小樽の町」とうたひたるけふ啄木忌春の雪舞ふ
    水口忠 北海道小樽市

   畚の稚児角折れし海老と遊ばせて漁の夫婦網を繕ろふ
    廣岡光行 三重県志摩市


   母の手を強く握ったその訳は普段言えない言葉のかわり
    坂田渉 高2 福岡県須惠町

   古希にして母なく父も死にたれば卆寿の義父を家族に迎う
    黒木直行 宮崎県日向市


   釣り人が水平線を眺めてる黄色い帽子の小さな子どもと
    東城優花 高1 群馬県高崎市

   白黒の家族写真の後ろから父の声するみんな笑へと
    小谷了一 高知県高知市


   いつのまに言えなくなったありがとうカサカサの手をそっとにぎりしめ
    小山千晴 高2 岐阜県飛騨市

   自閉児の弟見守るまなざしに少女はすでに母を引き継ぐ
    田上悦子 高知県高知市


   草津への環状線を走らせる後部座席に母の声して
    萩原敏彰 高1 群馬県高崎市

   啄木の短き命永久に親子抱かしむ高知駅の歌碑
    隅田章江 高知県佐川町


   道の辺にタンポポの綿舞い上がる私の影にふるえるように
    高橋映美 高2 茨城県結城市

   思い出を杯片手にひたすら聞くは米寿の母との日課となりて
    西森政夫 高知県越知町


   仕事して校門くぐる定時制流した汗が私をつくる
    大平彩由 高2 茨城県結城市

   左手を突然襲う激痛にめげずまた読む『坂本龍馬全集』
    高本智宏 北海道小樽市


   チャンネルを回して探す龍馬伝私の鼓動が龍馬を歩く
    萩原敏彰 高1 群馬県高崎市

   えぞ地への龍馬の夢はここにあり甥一族の墓に雪降る
    水口忠 北海道小樽市


   外国に龍馬の夢を連れてゆく近江屋にして果てし命を
    木暮晃宏 高1 群馬県高崎市

   ロマン乗せ思い出乗せてひた走る土佐の鎹チンチン電車
    田中勝 東京都墨田区


   祖父に聞く若かりし頃青き時路面電車で出逢った瞳
    木暮晃宏 高1 群馬県高崎市

   吾が腕に眠れる幼の重力をしばしとどめて布団に寝かす
    北添起代子 高知県高知市


   父見舞いふと見上げれば病院の窓に広がる青い大空
    長崎真紀子 高1 茨城県結城市

   ころころと笑い転がる子等を見て百寿の母はおっおっと笑う
    蓮見和子 茨城県古河市


   いつだって自分は自分と戦って明日の道を信じて生きる
    川上春姫 高2 茨城県結城市