〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

みぞれ降る石狩の野の汽車に読みし……啄木

石狩川 風景への旅
幌向
 成功収めた越後開拓団

  • 1882(明治15)年11月、幌内鉄道(手宮・幌内間)が全通した。これにより江別は石狩川の水運と鉄路のふたつを手に入れ、以後本格的な市街地が形成されていく。鉄道は幌内炭鉱の石炭を小樽港へ積み出し、小樽からは物資や移民団を奥地へと運んだ。
  • 幌向原野は、石狩川千歳川、夕張川、幌向川に囲まれた広大な泥炭地だった。1908(明治41)年の1月。石川啄木は客車から一帯をながめ渡してこんな歌をよんでいる。「みぞれ降る石狩の野の汽車に読みしツルゲエネフの物語かな」
  • 幌向原野の開拓は、1886(明治19)年、発足したばかりの北海道庁の支援を受けた10戸が越後から入ったことにはじまる。道央自動車道江別東 IC 近くにある越後沼は、彼らにちなむ地名だ。

(文・谷口雅春
(2012-10-17 朝日新聞>北海道)