〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

啄木は望郷の歌人

はがき随筆
活水女子大学教授・詩人 田中俊廣

  • 石川啄木は望郷の歌人です。<ふるさとの訛(なまり)なつかし/停車場の人ごみの中に/そを聞きにゆく>。その切なる思いは、<石をもて追はるるごとく/ふるさとを出でしかなしみ/消ゆる時なし>とあるように、渋民村の人々や勤務先の校長との対立があり、石を投げられるように出郷せざるをえなかったところから生じています。
  • 啄木の岩手県、そして宮城県福島県は、これまでにない様相で故郷が失われています。大津波で跡形もなくなった街。絶たれた多くの人命(動植物も)。唱歌「故郷」にあるように、自然や風景、父母や友人が心を慰めてくれるのです。

(2011-05-24 毎日新聞>地域ニュース>長崎)