〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

津波に流された石川啄木歌碑 陸前高田市

[フイリツワブキ]


8日前、大津波は町を啄木の歌碑をのみ込んだ
  きょうの潮流

  • 「いのちなき砂のかなしさよ/さらさらと/握れば指のあひだより落つ」。石川啄木の、『一握の砂』に収められている歌です。
  • 歌碑が、岩手県陸前高田市の名勝、高田松原にあります。いや、いまは「あった」といわなければならないのでしょうか。8日前、大津波は湾の奥の砂浜に広がる松原を越え、町をのみ込みました。
  • 啄木は、盛岡中学3年の1900年夏、修学旅行で高田松原を訪れていました。
  • 歌碑は、まず1957年に建てられます。ところが3年後、南米チリ沖から押し寄せてきた津波にあって行方知れずに。
  • 1966年に現在の新しい碑が建てられます。啄木の友人だった国語学者金田一京助が、碑文の筆をとりました。
  • 約5000世帯が全壊し、市役所の住民台帳も失われたという陸前高田。行方不明の人が数多く、1万を超える人が避難しています。
  • 中学校で、生徒たちが「町を立て直そう」と力仕事やお年寄りの手助けに立ち上がっています。

(2011-03-19 しんぶん赤旗>きょうの潮流)