〖 啄木の息 〗

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井上ひさしさん、絶筆は義姉しのぶエッセー

絶筆となった井上さんのエッセー

  • 劇作家・小説家の井上ひさしさんの絶筆は、義姉の作家・米原万里さん(2006年没)をしのぶエッセーだったことが14日、わかった。
  • 井上さんが理事長を務めた市川市文化振興財団の関係者が妻ユリさんに確認することができたという。昨年10月頃、ユリさんに「会場展示用のエッセー的なあいさつ文を井上さんに書いてほしい」と依頼したが、体調不良を理由に断られた。その後、学芸員が執筆し、今年2月13日頃、事実確認の意味もあり原稿をユリさんに送った。
  • その折、たまたま病院から外泊で帰宅した井上さんが原稿を一読。「回復したら執筆を再開するので、リハビリになれば」とペンを握った。文字数は、原稿用紙なら3枚程度の約1040字。2月16日に独特の丸文字がファクスで送られてきた。
  • 9日夜の井上さんの死後、財団関係者が「時期的に絶筆になるのでは」と気付き、遺族に連絡を取り、ユリさんが「『病後の腕ならしに』と語っていた。間違いなく最後の直筆原稿」と答えたという。
  • 文章は千葉県市川市内で開催中の「米原万里展」の会場に展示されている。
      • 企画展は5月9日まで、市川市真間の芳沢ガーデンギャラリーで。
      • 問い合わせ 芳沢ガーデンギャラリー(047-374-7687)へ。

(2010-04-15 読売新聞)