〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「札幌西武閉店」啄木も気に入っていた--


【ヤマラッキョウ


「札幌西武閉店」北海道新聞 卓上四季

  • 石川啄木は函館大火に遭った後、札幌に移り住むことにした(1907年)。汽車が駅に着くあたりの様子が「札幌」という小品に残されている。
  • 広い通りが秋雨の中に煙って見えた。「男も女もしめやかな恋を抱いて歩いているようにみえる」。
  • 迎えに来た知人が駅前で説明した。「この通りはアカシア街と呼ぶのだ。あっちに大きい煉瓦造りが見える。あれは五番舘というのだ。どうだ、気に入らないかね?」。「いい! いつまでも住んでいたい」。啄木は、文中の自分に答えさせている。
  • (五番館の)後身となった「札幌西武」が、きのうで店を閉じた。

(2009-10-01 北海道新聞