〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「啄木と高知 父・一禎の歌も刻んだ歌碑建つ 」


【除幕を待つ歌碑 撮影・岡林一彦さん】


啄木と高知
「父・一禎の歌も刻んだ歌碑建つ」

  • 高知駅前に石川啄木とその父一禎の歌を刻んだ歌碑が建った。除幕式には岩手県と啄木記念館からも参列、多くの啄木ファンでにぎわった。
  • 啄木と高知のかかわりは、父一禎の終焉の地であるとともに、明治末年の“冬の時代”、幸徳秋水らの大逆事件冤罪にたいし、文学者として怒り、時代にいどんでいったことでつながってくる。高知では幸徳秋水、奥宮健之死刑、坂本清馬ら三名が無期刑とされた。これを「日本無政府主義者陰謀事件経過」「A LETTER FROM PRISON」として記録に残した。
  • 啄木のこれらの記録や、この時代の詩「呼子と口笛」が日の目を見るのは、1945年の日本敗戦以降だった。
  • 啄木と一禎の碑建立には全国からも多くの募金が寄せられた。“時代閉塞の現状”を切り開こうとした啄木のあつい思いは、一世紀をへて、その文学とともに現代に生き流れているのをあらためて感じさせられた。

<猪野 睦 詩人>
(2009-09-25 しんぶん赤旗