〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「啄木の短歌、賢治の短歌 第124回」


【クラッスラ】


「啄木の短歌、賢治の短歌」盛岡タイムス連載中
  盛岡大学長 望月善次
第124回 屋根への感情

  • 啄木の短歌

  おそろしき力をもちて落ちきたる屋根
  を支へて柱うごかず

  • 賢治の短歌

  雲ひくし
  いとこしやくなる町の屋根屋根
  栗の花
  すこしあかるきさみだれのころ。

    • 「見立て」の中心は、「柱」にある。なるほど、柱は、「おそろしき力をもちて落ちきたる屋根」を支えているのである。
    • 「屋根」が、客観的に「こしゃく」なのではなく、主観的に「こしゃく」に感ずる話者がいる。

(2009-02-06 盛岡タイムス)