〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「新しい文庫版で見えた啄木歌集の構造」


朝日文庫

『一握の砂』の紹介
(「芸術新潮 2009年1月号」 invitation, book)


「新しい文庫版で見えた啄木歌集の構造」

  • きわめて多数の版がある中で、この朝日文庫版は明治43年に東雲堂書店から出た初版の1頁2首組という体裁を初めて再現しており、使用書体も仮名については初版の活字をデジタルに覆刻したものなのだという。
  • 啄木短歌の三行表記はよく知られているが、歌人生前の初版ではさらに頁単位、見開き単位での展開に意を用いつつ、編集技巧の粋を凝らした配列がなされていた。
  • 啄木研究家の近藤典彦による注は、単なる語釈を超えて歌集の構造にまで踏み込む。すなわち啄木の頭脳の構造を明らかにするのと同断であろう。

『一握の砂』