【フヨウの実】
「啄木の短歌、賢治の短歌」盛岡タイムス連載中
盛岡大学長 望月善次
第80回 悲しみの両面
- 啄木の短歌
月の夜はいとおどけたる我が影を踏
みて笑ひきうき旅にゐて
- 賢治の短歌
しらくもよ夜のしらくもよ
月光は重し
気をつけよかのわるひのき
-
- 「おどけたる我が影」は、結合比喩であるが、「オドケ」の様子を取らざるを得ない話者とそれを見つめている話者がいる。
- 「オドケ」に一役買う啄木歌の月光と重く照らす賢治歌の月光の根底は案外近いのだというのが評者の見解。
(2008-10-18 盛岡タイムス)