【オオハンゴンソウ】
「啄木の短歌、賢治の短歌」盛岡タイムス連載中
盛岡大学長 望月善次
第51回 父2 共感
- 啄木の短歌
ふるさとの父の咳する度に斯く
咳の出づるや
病めばはかなし
- 賢治の短歌
これはこれ
夜の間にたれかたびだちの
かばんに入れし薄荷糖なり。
-
- 啄木歌は、……病気を契機として、父への共感、望郷の思いを作品化合したもの。「ふるさとの父の咳する度に斯く咳の出づるや」が出来上がった時に、作品の核は形成されたと見た。
- 賢治歌の背景は、佐々木又治宛書簡に記されている。「ミツワ人参錠ノ様ナモノガ一杯ツマッテヰマシタ。コレハ私ノ父ガ入レテオイタノデス。私ハ後ニ兵隊ニデモ行ッテ戦ニデモ出タラコンナ事ヲ思ヒ出スダラウト思ヒマス。アア人ハミンナヨク聞イテミルト気ノ毒にナルモノデハアリマセンカ。」の記述は読む者の胸を打つ。
(2008-08-05 盛岡タイムス)