【表紙】
『啄木への目線—鴎外・道造・修司・周平』を読む -「啄木の息」管理者
- 門屋光昭 著 洋々社
- 2007年 2400円+税
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- 第1章 啄木の絵葉書(啄木と橘智恵子 他)
- 第2章 啄木と鴎外・道造・修司・周平(寺山修司と啄木—「便所より青空見えて啄木忌」 他)
- 第3章 啄木と民俗芸能(啄木と渋民の盆踊り 他)
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「緒言」より
藤沢周平が、啄木記念館に移築復元された旧渋民小学校の教室の小さな椅子に座ったときの文章に著者は心を打たれた。
- 小さくて固い椅子に坐ると、私の目線は明治三十年代末の生徒の目になって、教壇の上に袴姿の啄木が見えた。よく復元してくれたと感謝したくなった。
- 生徒の目線、これが重要だと思う。藤沢の書くものには高いところから見下ろす目線がない。同じ目線か、もっと低い位置からきっちりと全体像を見る目線がある。
著者・門屋光昭氏はこの本の発行後、間もなく急逝された。【結語】には病気になられてから書いた本『啄木と明治の盛岡』からの文章が引かれている。
最期の覚悟をした。そのとき、金田一先生が語った啄木の最期のことが甦った。何事にも一生懸命で、死を迎える直前まで出そうとする雑誌のことを語る啄木。私は再び命を貰い、私流の人生の終え方を考え始めた。
啄木の最期とご自分の生き様を重ねた言葉の重みが、強く心に響いた。