〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「ふるさとの訛なつかし」-天声人語

【東京 上野駅前通り商店街の歌碑】


 ふるさとの訛なつかし
 停車場の人ごみの中に
 そを聴きにゆく

  • 〈ふるさとの訛なつかし 停車場の人ごみの中に そを聴きにゆく〉と詠んだのは石川啄木である。寺山修司は〈ふるさとの訛りなくせし友といてモカ珈琲(コーヒー)はかくまでにがし〉とうたった。ともに東北地方の出身である。歌には故郷の言葉への、懐かしさばかりではない微妙な思いも感じられる。


(2007-04-21 朝日新聞天声人語