〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

秋水処刑「日記をのぞく」-啄木日記-5

ユキヤナギ


日記をのぞく
 石川啄木「啄木日記」5 日経新聞連載

2007-04-01

5 秋水処刑に時代の閉塞感

  • 「渋川氏が、先月朝日に出した私の歌を大層讃めてくれた。そして出来るだけの便宜を与へるから、自己発展をやる手段を考へて来てくれと言った」(1910年〔明治43〕4月2日)
  • 「自己の天才意識を捨てた日、天才詩人石川啄木が生まれた」。国際啄木学会会長の近藤典彦氏はこう評する。
  • 「幸徳の陳弁書を写し了る。火のない室で指先が凍つて、三度筆を取落したと書いてある」(1911年〔明治44〕1月5日)
  • わかりやすい言葉で、日常の喜びや悲しみを素直に表現する歌や詩、小説。自らの思いに忠実であろうとする純粋な生き方。啄木は今日まで、多くの人々の心を引き付けてきた。
  • 国内外で発行される啄木関係図書や資料を幅広く収集、湘南啄木文庫を主宰する佐藤勝氏もそうした一人だ。「集団就職で福島から状況。下町の繊維関係の工場で働き始めたときから、変わることなく私の心の支えになったのが、啄木の詩であり、歌であり、小説でした」


2007-04-01 日本経済新聞 SUNDAY NIKKEI α)