〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

先祖への敬意をこめて「武士の一分」

「武士の一分」

下級武士が妻とつましく暮らしている。彼の仕事は藩主の毒味役。ある日、毒に当たり高熱を出す。あやうく一命をとりとめた時は失明していた。

目が見えなければ生きていけない、という時代。
「どうやって暮らしていくのだ」と親族一同に責められる。「何をしてでも、お茶屋で働いても…」と、妻が言えば「お茶屋で働くなど家名に関わる」と、時代のしがらみが絡みつく。

『時代……か』
もどかしい思いもするが、今と何が違うかと考える。

山田監督
「幕末の日本人は謙虚で礼儀正しく、貧しくとも清潔であった」

それならば、今だって『日本人は謙虚で礼儀正しい…貧しくて清潔だ…ゾ』とも思う。

“年の暮れ”にも“新年”にもふさわしい、後味スッキリの映画。