〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

生活の詠嘆を題材とした歌が高く評価された 『文豪図鑑完全版』

『文豪図鑑完全版』表紙(中央が啄木)

『文豪図鑑完全版 あの文豪の素顔がすべてわかる』

著者 開発社 (編)

坪内逍遙芥川龍之介井伏鱒二…。日本の歴史に残る50人の文豪をとりあげ、生い立ちや趣味嗜好、読むべき代表作、人間関係などを紹介。偉大な業績の影に隠された文豪たちの赤裸々な素顔が明らかになる。

 

目次
    明治の文豪(坪内逍遙夏目漱石二葉亭四迷・・・)
    大正の文豪(芥川龍之介武者小路実篤石川啄木・・・)
    昭和の文豪(井伏鱒二太宰治夢野久作;・・・)

 

石川啄木

日常の感情を詠んだ夭逝の歌人

 

プロフィール

寺の住職の長男として生まれる。生活苦のなかで創作活動を続けたが、歌人として評価され始めた直後、結核を悪化させて26歳で死去。

友人からの援助を女遊びで浪費していた

日常生活の感情を散文スタイルで詠む

 『一握の砂』
  はたらけど
  はたらけど猶(なほ)わが生活(くらし)楽にならざり
  ぢつと手を見る

初の歌集『一握の砂』のなかで、とくに有名な一首。同歌集の発表から2年後、啄木は肺結核でこの世を去った。生活の詠嘆を題材としたこの歌集が高く評価されたのは、死後のことである。なお、啄木の短歌は「三行書き」と呼ばれる散文的なスタイル。『一握の砂』の評価が高まるに連れ、三行書きに追従する若手文士が増えたという。

 

『文豪図鑑完全版 あの文豪の素顔がすべてわかる』

著者 開発社 (編)

出版 自由国民社  発売 2017年3月

定価 1,430 円(本体 1,300 円 + 税)