〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

<安宅夏夫のBLOG>紹介 石川啄木と平出修、秋瑾

ユリノキ

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石川啄木と平出修、秋瑾 ―内田弘『啄木と秋瑾 - 啄木歌誕生の真実』を読んで その1

(2013-12-08)

 石川啄木研究は、現在「国際啄木学会」ができていて、今やグローバル化しています。研究者も時代を追って新鋭が現われ、

    ①岩城之徳(一九二三~一九九五)
    ②今井泰子(一九三三~    )
    ③近藤典彦(一九三八~    )

 の順序で発展した、と私は見ています。

 ①は、日本近代文学大系25『石川啄木集』(角川書店刊・昭和44)の「解説者」、②は同著の「注釈者」。同著は定評があり、平成七年に第9版を出していて、研究者必携の著です。
 ③は、①②を受けて、画期の出現と言える人。社会発展の流れの中で啄木を洗い出しました。この人の近著『啄木短歌に時代を読む』(吉川弘文館刊・平成12)は、啄木『一握の砂』所収の歌、

    わが泣くを少女等きかば
    病犬の
    月に吠ゆるに似たりというらむ

 には、「あやまった解釈が横行しています。」として、「たとえば」として、上に引いた②今井泰子、①岩城之徳らの解釈、

    〈月に吠える病犬の姿に、現実に疲弊しきってむなしい救いを求める人間との類似を見ている〉

 を批判、

    〈私の心の中の憤懣、悲しみをそのまま泣くという行為にうつしたならば、その泣き声を少女等は、舌を出しよだれをたらして何にでもかみつこうとする狂犬が月に向かって吠えているようだ、と言うことであろう〉

 と解釈します。

 

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