暗闇からのつぶて
- そうだよねえ…と、うなずく人も多いだろう。石川啄木に一首がある。〈気の変(かわ)る人に仕(つか)へてつくづくと わが世がいやになりにけるかな〉。100年以上も前に詠まれたが、いつの時代にもこの手の不平不満はある。
- ネットに書き込みを始めると、人が変わる場合も少なからずあるらしい。プロ野球の広島東洋カープに誰かが「ケロカス」という言葉を浴びせかけ、中傷している。広島原爆からの連想か、「ケロイド」と「カス」を組み合わせたとみられる。
- 推し量りづらい心を想像すれば、ネット上で「見知らぬ誰か」でいられるからこそ地金が出るのだろう。匿名という暗闇からつぶてを投げつけるような、心ない言葉の切っ先が痛い。
- ケロイドを負った人がどんな人生を歩んだか。よく知って、それから書き込むかどうかを考えるといい。暗闇の住人よ。(徹)
(2022-09-22 長崎新聞)