〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「息を止め審査のボタンを押す」短歌甲子園特別審査員・小島ゆかりさん 

サルスベリ

短歌甲子園 歌人小島ゆかり

  • 3年ぶりに、主催地・岩手県盛岡市での短歌甲子園が開催された。対面はいい。高校生一人一人の情熱が、その熱量のままに心と体にひびいてくる。
  • 短歌甲子園は2006年創設。〈故郷の歌人石川啄木と青春の歌を顕彰する〉短歌大会である。高校生の全国短歌大会としてはもっとも長い歴史をもつ。
  • わたしは縁あって第2回大会から特別審査員を務め、今年で16年。
    16年の間には、本当にいろいろなことがあった。あの東日本大震災の年には、避難所から参加した宮城県気仙沼高校のチームが決勝リーグに勝ち残り、悲しみに押しつぶされそうななかで「自分たちに短歌があって本当によかった」と言ってくれた。
  • 今年もまた、歌を愛する若い作者たちを心底いとしく思う。思うけれども審査をしなければならない。息を止めて、赤か白かのボタンを押すのだ。
    (2022-08-16 日本経済新聞

 

短歌甲子園 歌人・小島ゆかり: 日本経済新聞