〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

♪「負けないで」 啄木の短歌とZARDの全歌詞を論文で比較し共通性に着目

シロヤマブキ

心に響く言葉 【天風録】

  • ラソンや運動会でランナーを勇気づける定番だろう。ZARDの故坂井泉水さんが作詞し、歌い上げる「負けないで」の発売は1993年。後に教科書にも載った曲の名フレーズは収録の本番直前に変更されたという。
  • 最後まで走り抜けて―。元は「あきらめないで」だったが、ぎりぎりまで考えた坂井さんは書き換える。
  • テレビに出ずベールに包まれた平成音楽の旗手は155曲の歌詞を残す。どう書けば心に響くか日々、考え抜いたのか。さまざまな言葉を紡ぐ膨大なメモが死後見つかる。石川啄木の短歌も愛読し共鳴していたらしい。
  • 明治大の池田功教授は啄木の短歌とZARDの全歌詞を論文で比較した。街、電車、砂浜。同じ要素のほか「新しい明日」という言葉の共通性に着目する。啄木が生きた明治末と平成、共に先の見えぬ時代を映す、と。

(2022-05-26 中國新聞

 

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