〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「空に吸はれし 十五の心」啄木は限りなく広い空にその時生きた彼の心を映した

石川啄木歌碑拓本 岩手県盛岡市 盛岡城跡公園

NHK短歌 題「空」—— (視聴まとめ)

放送 4月24日(日)午前6:00

 新選者:佐佐木定綱さん。

 ゲスト:山崎樹範さん(俳優)。

 司会:星野真里さん

 

題「空

 

  部屋隅に
  エアープランツ
  吊り下げる
  日に何度かは
  空を見るため
         佐々木定綱

 

特選 一席
  目の前に
  母だけがゐて
  真空の
  午前三時の
  体位変換
        奈良県奈良市 和田 康
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佐々木先生の 短歌というドラマ

 石川啄木の歌に詠まれた空をとことん味わう

  不来方のお城の草に寝ころびて
  空に吸はれし
  十五の心
           啄木「一握の砂」より

人によって読みが違うのがこの歌の魅力の一つ。

 

実はこの歌は……

背景1 学校を抜け出しサボった歌    
    本当の自分の姿を詠んでいる

背景2 当時を回想した24歳の歌
    十五歳=人生の分岐点
     大人になった啄木が将来を決断した時期を詠んでいる
    →周りに理解されなくても夢に向かった自分
    「十五の心」→「少年の心」だったら

空の変化

二十四歳の空

  病のごと
  思郷のこころ湧く日なり
  目にあをぞらの煙かなしも
          啄木「一握の砂」より

  この歌の「空」はどんな「空」

 

2年後

結核のため東京で亡くなる
家族と借金を抱え困窮の末に

 

この歌のついて--佐佐木先生

啄木は限りなく広い空にその時生きた彼の心を映した。啄木にとってその時の空は自身の心を映す鏡のようなものだったかもしれません。