啄木語り続けた研究者、講座に区切り 白血病発症も「研究に専念」
- 歌人石川啄木(1886~1912)の研究者で釧路啄木会の会長を務める北海道釧路市の北畠立朴(りゅうぼく)さん(81)が、長年続けてきた「啄木講座」に今春で区切りをつけた。昨年末に白血病を発症したが、「啄木研究は私の天命。やり残したことはまだまだある」。今後は、治療を続けながら研究に専念する。
「病気になったけれど今日、明日死ぬわけじゃない。あと10年ぐらい啄木研究を続け、後世の役に立つ資料を残していきたい」
- 北畠さんは北海道足寄町出身。高校3年の時に啄木の歌集を文庫本で買い、その歌に夢中になった。「中学生で父を病気で亡くした私の家は生活が苦しかった。苦労しながら歌を作り続けた啄木に共感した」
- 地元での勉強会で啄木研究の第一人者に指導を受け、20代半ばで自らも本格的に啄木研究を始めた。北畠さんが講師を務める「啄木講座」は、これまでで500回を超える。
- 「そろそろ講座も締めくくり、研究に専念しよう」そう思い立った矢先に、急性骨髄性白血病の診断を受け入院。持ち込んだ啄木の歌集を何度も読み返した。「やはり心が落ち着いた」と振り返る。
- 調べたいテーマはまだいくつもある。たとえば、啄木の釧路の下宿先のおかみさん。「写真が1枚も出てこない。どんな人だったのか分からないことばかり」と知的好奇心は絶えない。(武沢昌英)
(2022-04-22 朝日新聞)
啄木語り続けた研究者、講座に区切り 白血病発症も「研究に専念」:朝日新聞デジタル