〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

啄木の歌・評論 現代にも通じる

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フヨウ

時代を超える 啄木の魅力

 26歳で病没後110年

13日は、岩手出身の石川啄木の没後110年目の節目だった。昨年12月末に陸前高田市で歌碑の再建が行われるなど、歌人として知られる啄木。一方で、社会に対して積極的な評論活動をしていたことも伝わっている。現代を生きる人たちに、啄木はどう響いているのか。

若者に響く自由な歌

  • 県立盛岡第三高の文芸部員、岩崎野乃花さん。「啄木は情景描写が巧み。歌の中に動作を入れ込み、読者に心情を伝えるのもうまい」。
    同じく部員の嶋栞さん。「自分のことを『なまけ者』と言い、ダメな部分もさらけ出しているので大勢が共感できる」。
    同じく部員の西澤あづきさん。「啄木の歌で『たんたらたらたんたらたらと 雨滴(あまだれ)が……』と歌い、短い言葉で表現する必要がある短歌で、大胆に擬音を使う。『こんなに自由でいいんだ』と思った」。

現代にも通じる評論

  • 「啄木は評論でも現代に通じるものを書き残した」そう語るのは啄木や宮沢賢治などの東北の文学を研究する盛岡大文学部の塩谷昌弘准教授だ。
  • 若くして亡くなる1年半ほど前に書いた「時代閉塞の現状」という評論がある。塩谷さんはこれについて「啄木の現実を見る目が表れている」と指摘する。
  • 日本が欧米列強に追いつこうと近代化に邁進した時代を生きた啄木。韓国併合など帝国主義化が進む中、「彼は社会に生じたゆがみを敏感に感じ取り、表現した」と評する。

(2022-04-14 朝日新聞