〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「葡萄(えび)色の 長椅子の上に眠りたる 猫ほの白き 秋のゆふぐれ」啄木

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オオイタビ

村上春樹「真面目にけなげに生きている市民なのにね」長編小説「1Q84」創作に関わるエピソードを披露

作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMの特別番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。11月28日(日)の放送は「村上RADIO~村上の世間話~」をお届けしました。

世間話⑧ NHK
結婚してからしばらく、かなり長いあいだ、テレビってうちになかったんです。

で、うちの奥さんが1人で家にいるときに、某準国営放送の集金の人がやってきまして、……「奥さん、あんたウソ言ったってちゃんとわかるんだ。テレビ番組を見ていながら聴取料を払わないっていうのは泥棒と同じなんだ、泥棒!」って怒鳴られました。それ以来、当然ながらうちはその放送局に対して、温かい好意みたいなものは持っておりません。そんなふうに人を犯罪者みたいに決めつけるのって良くないですよね。真面目にけなげに生きている市民なのにね。

今日の言葉は、石川啄木さんの歌です。

葡萄(えび)色の
長椅子の上に眠りたる
猫ほの白き 秋のゆふぐれ

歌集『一握の砂』に収められている作品ですが、僕は秋の夕暮れになると、よくこの歌を思い出します。葡萄色のソファに白い猫が眠っていて、秋の日がゆっくり暮れていきます。
ただそれだけの内容なんだけど、猫の白さが網膜にしんと静かに残ります。

僕は一度、石川猫木さんの歌を作りました。 

働けど働けど猶
わが生活(くらし)楽にならざり
ぢっと肉球を見る

という歌なんですけど、意味ないですね。猫が肉球をじっと見てどうなるっていうんだろう。にゃあ(猫山)

それではまた来月。

(2021-11-30 Tokyo fm plus)

 

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