文学碑の散歩道
石川啄木 最期の時を前にして
「呼吸すれば、/胸の中にて鳴る音あり。/凩よりもさびしきその音!」
「眼閉づれど/心にうかぶ何もなし。/さびしくもまた眼をあけるかな」
- どちらの歌も死後に発見され、歌集「悲しき玩具」の冒頭に置かれた。肺病に侵され弱り切った自らを描き、読者に悲しみを催させる内容だ。
- 碑材は啄木の故郷にある姫神山の石を用い、陶板は原稿用紙をかたどる。隣接地に立つ高齢者施設の1階には「石川啄木顕彰室」が開設され、関係資料を展示している。
- 象徴主義的な作風を試みた初期を除き、啄木は平明な言葉を使った。生活に即して詠み、1首を3行に分ける新鮮なスタイルを開拓した。
(随時掲載します)
(2021-10-05 岩手日報)