〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

啄木絶筆の短歌2首を陶板に記した歌碑 東京・小石川

f:id:takuboku_no_iki:20211006165740j:plain

終焉の地歌碑の除幕式当日 国際啄木学会東京支部終焉の地歌碑建設実行委員メンバーと啄木ファン(除幕式・2015年3月22日)

文学碑の散歩道

石川啄木 最期の時を前にして

  • 石川啄木が最後に住んだ東京・小石川の家の跡地辺りに、絶筆の短歌2首を陶板に記した歌碑が建てられている。

「呼吸すれば、/胸の中にて鳴る音あり。/凩よりもさびしきその音!」
「眼閉づれど/心にうかぶ何もなし。/さびしくもまた眼をあけるかな」

  • どちらの歌も死後に発見され、歌集「悲しき玩具」の冒頭に置かれた。肺病に侵され弱り切った自らを描き、読者に悲しみを催させる内容だ。
  • 碑材は啄木の故郷にある姫神山の石を用い、陶板は原稿用紙をかたどる。隣接地に立つ高齢者施設の1階には「石川啄木顕彰室」が開設され、関係資料を展示している。
  • 象徴主義的な作風を試みた初期を除き、啄木は平明な言葉を使った。生活に即して詠み、1首を3行に分ける新鮮なスタイルを開拓した。

  (随時掲載します)

(2021-10-05 岩手日報