〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

ZARD「君がいたから」の歌詞は 啄木の影響を多く受けた

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ヘラオオバコ

「鼓舞よりも寄り添う」 ZARD坂井泉水石川啄木の共通点

 「負けないで」や「揺れる想い」など多くのヒット曲を生んだ音楽ユニット「ZARD」のボーカル、坂井泉水(いずみ)さん(1967~2007年)の作詞に着目した展示会「ZARD坂井泉水 心に響くことば展」が、東京都町田市の町田市民文学館で開かれている。平成を彩った歌姫がつむぎだした言葉(作詞)の源泉には、明治歌人の影響があった。

  • 会場では、代表曲の歌詞をパネルや垂れ幕で展示、プロジェクターでも映し出す。あわせて石川啄木(1886~1912年)や中原中也らの歌集も並べられた。「ファンの間では、石川啄木の愛読者と知られていたようです」と話す同館の神林由貴子学芸員。言葉を大切にしていた坂井さんのZARDデビュー30周年と、同館の開館15周年に合わせて企画された。楽曲と啄木の詩との共通点が垣間見える趣向だ。
  • 歌集「一握の砂」におさめられた《友がみな われよりえらく見ゆる日よ 花を買ひ来て 妻としたしむ》に似た一節が、8年発売のZARD「君がいたから」の歌詞に登場するなど、啄木の影響を多く受けた。
  • 国際啄木学会会長の池田功・明治大教授(日本近代文学)は会場内の解説で、啄木が作品を発表した日清・日露戦争から大逆事件の時代と、1980年代に(バブル)経済が膨張しその後崩壊に向かった時期を比較。「啄木は明日に期待を込める短歌を読み、(坂井さんは)不況に苦しむ人に応援メッセージとでもいえる歌詞で励ました」と分析している。

7月11日まで。チケットは事前購入による日時指定予約制。問い合わせは同文学館(042・739・3420)。

(伊藤 洋一)

(2021-06-25 産経新聞

 

「鼓舞よりも寄り添う」 ZARD坂井泉水と石川啄木の共通点 - 産経ニュース