〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

啄木や寺山修司らの口語短歌 俵万智さんの時代をすくい取る力

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コダカラベンケイソウ

北斗星(6月1日付)

  • 歌人俵万智さんの第1歌集「サラダ記念日」は歌壇に衝撃を与え社会現象を巻き起こした。初版はバブル景気に浮かれた昭和も末の1987年5月。ミリオンセラーを記録した。時代を切り取る言葉のセンスが巧みだ。からっとした恋愛の歌は今なおみずみずしい。〈「嫁さんになれよ」だなんてカンチューハイ二本で言ってしまっていいの〉。
  • 石川啄木寺山修司ら先人が挑んだように、口語短歌そのものは新しいものではない。俵さんの歌は口語でありながら、五七五七七の定型リズムに乗っている。古語と現代の日常語を自在に使いこなす技法が光る
  • 俵さんの最新歌集「未来のサイズ」が今年の迢空賞に選ばれた。そのうちの一首〈手洗いを丁寧にする歌多し泡いっぱいの新聞歌壇〉。やはり時代をすくい取るのがうまいなあ。

(2021-06-01 秋田魁新報社

 

北斗星(6月1日付)|秋田魁新報電子版