〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

泉下の啄木もワクチンに注目しているだろう

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ユキヤナギ

【越山若水

  • 石川啄木は教科書にも掲載された明治時代の歌人。歌集「一握の砂」「悲しき玩具」が代表作で、貧困と病気に苦しむ不遇の境涯で詠んだ短歌の数々は、今も多くの人に支持される。
  • 「呼吸(いき)すれば、胸の中(うち)にて鳴る音あり。凩(こがらし)よりもさびしきその音!」。文学者を目指し岩手県から上京した啄木。ところがなかなか芽が出ず、北海道などで職を転々とする。1911(明治44)年2月に慢性腹膜炎の手術を受け、4月には肺結核を患い高熱が続いた。
  • その後、妻も母も肺結核で死亡し、啄木本人も後を追うように弱冠26歳で永眠した。おそらく一家で結核菌に感染したらしい。結核は当時治療が困難な病気で、現在のBCGワクチンは21年にフランスで開発、日本への導入は24年だった。
  • きのう新型コロナウイルスのワクチン接種が全国で始まった。ワクチン先行国の英国、米国、イスラエルでは発症者や重症者を減らす効果が確認されている。ウイルス対策の切り札として、誰もが待ち望んでいる期待の星である。ちなみにきょう13日は啄木の忌日。泉下の歌人もワクチンに注目しているだろう。

(2021-04-13 福井新聞

 

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