談話室 山形新聞
- 例えばこうだ。〈病みて四月-/その間にも、猶(なお)、目に見えて、/わが子の背丈のびしかなしみ。〉。こんな歌にも寂寥(せきりょう)感が漂う。〈いつも子を/うるさきものに思ひゐし間に、/その子、五歳になれり。〉。子を疎んじていたことを悔いても、自身に残された時は少ない。
- そのような状況で幼子の愛らしさに改めて気付いたのであろうか。〈五歳になる子に、何故(なぜ)ともなく、/ソニヤといふ露西亜名(ろしあな)をつけて、/呼びてはよろこぶ。〉。幼児の笑顔は親をも無邪気にさせる力がある。福岡県篠栗町で餓死した5歳男児も本来はそうだったはずだ。
(2021-03-04 山形新聞)