〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

新年に希望を託した啄木は…… いま一度 立ち止まる時?

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ミツマタ

天風録

句読点付きの2021年

  • 石川啄木の没後に刊行された「悲しき玩具」には句読点付きの短歌が並ぶ。<何となく、今年はよい事あるごとし。元日の朝、晴れて風無し。>といったふうに。病気と借金苦のわが暮らしに、ひと区切り付けたい心情がこもるのか。
  • 感染拡大にきっちりとピリオドを打つ―。この正月、そんな句点付きの初夢を見た人も多いことだろう。今年3月11日、新型コロナのパンデミック、すなわち世界的大流行が宣言されて1年となる。このころまでに感染収束のめどを付けないと、夏の五輪どころではなくなりそう。
  • 新年に希望を託した啄木は<いつしかに正月も過ぎて、わが生活(くらし)が またもとの道にはまり来(きた)れり。>とも詠んでいる。取り戻すべき日常は誰にもあり、後戻りしてはならぬ道もまたある。いま一度、立ち止まる時かもしれない。 

(2021-01-05 中國新聞

 

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