〈カバーストーリー〉
コロナ禍越えて次代につなげ操り人形の糸
クラウドファンディング、配信にも挑戦 結城孫三郎
- 約20本の糸で、繊細かつ表情豊かな人形を生きているかのように表現してみせる。385年続く「江戸糸あやつり人形結城座」が今、断崖絶壁まで追い詰められている。「芸能なんて客が要らないといえば消えるもの」。ずっとそう考えてきたが、コロナ禍のせいで消えるのは耐えられない。次代につなぐため、できるだけのことにチャレンジするつもりだ。
- 結城座は現在、11月の公演に向けて準備の真っ最中。石川啄木の未完小説「雲は天才である」を原作に加藤直さんが書き下ろしてくれた新作だ。稽古の前後には検温。両手に加え人形やそれをあやつる操作板、さらにすべての糸まで毎日消毒。感染防止策にも徹底して取り組んでいる。
- このままでは終われない。劇団の若者たちが知恵を絞ってくれ、ネットで資金を募るクラウドファンディングに挑むことにした。ただ寄付を募るだけではない。11月の公演は、まだ観劇に行こうという人が少ない時期に、初めてオンラインでのライブ配信に挑む。
- コロナを乗り越え、息子をはじめとした若者に全てを伝えなくては。孫三郎の名は譲っても、まだまだ引退はできそうにない。
(ゆうき・まござぶろう=結城座座長)
(2020-10-29 日本経済新聞)
江戸糸あやつり人形結城座|江戸寛永十二年から続く伝統を未来へ継なぐ(公益財団法人江戸糸あやつり人形結城座 2020/09/28 公開) - クラウドファンディング READYFOR (レディーフォー)