『かなしき時は君を思へり 石川啄木と五人の女性』
山下多恵子 著 発行所 未知谷
山の子の
山を思ふがごとくにも
かなしき時は君を思へり
(石川啄木『一握の砂』)
啄木の人生に登場する五人の女性
〈節子、京子、智恵子、小奴、カツ〉
について、彼女たちから見える啄木の人生
目次
はじめに
I 我ならぬ我――節子1 もうひとりの私
2 待つ女
3 郁雨をめぐって
4 その後の一年
II ソニヤ――京子の歌
1 叱られる京子
2 ソニヤになろうとする京子
3 京子の「故里」III もう一つの「智恵子抄」
1 鹿の子百合
2 ローマ字日記
3 「忘れがたき人人 二」
4 理想の女性像IV さいはての町で――小奴
1 釧路
2 「妹になれ」
3 上京後V 「涙」から「涎」へ――母カツ
1 盲愛
2 「不幸の源」
3 母の肖像あとがき
〈はじめに〉より
・啄木の魅力の一は、昨日の自分を、今日は乗り越えようとしていたことです。
・時に自暴自棄になりながらも、家族も生かし自分も生かす道を模索し続けます。
・作品はいいけれども人間としては駄目な奴だった、という旧来の啄木伝説を、鵜呑みにする人はさすがに少なくなってきたようです。しかし著名な方の中にも、誤解にまみれた啄木像を語る人たちが、いまだにいることを思えば、本書を世に出すことも、無駄ではないかもしれません。
〈あとがき〉より
・啄木はよく生きて、そして若くして逝ってしまいましたが、しかし彼はずっと生き続けている、と思うこともあります。
・啄木は何度も現実に叩きのめされながらも、そのたびに必ず立ち上がり、さいごまでファイティングポーズをとり続けました。その姿がいとおしく、いたましく……私は、姉のような気持で彼を想うことがあります。
・本書が、石川啄木の生きた姿の片鱗なりとも、お伝えできていれば幸いです。
『かなしき時は君を思へり 石川啄木と五人の女性』
山下多恵子 著 未知谷
2020年10月発行 1,800円(税別)
山下多恵子 著『かなしき時は君を思へり 石川啄木と五人の女性』(未知谷 刊/ISBN978-4-89642-622-9)の内容詳細