〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

学校や会社に行きたくない日にオススメ 啄木の本 3選

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アジサイ ティンカーベル

夭折した歌人の足跡を追う~石川啄木入門! おすすめ本3選~

  • 2020年4月より、石川啄木を主人公とする『啄木鳥探偵處(きつつきたんていどころ)』というアニメが放送されています。作中の啄木は女たらしで借金魔、けれども頭の回転が速く、見事な推理で謎を解いていきます。時代設定が啄木達が生きていた明治時代であることや、実際の啄木の短歌が元になったストーリーなだけに、これらがどこまで本当なのか、と気になった方も多いのではないでしょうか。
  • 啄木は本当に女癖が悪かったの? 悪びれずに借金を重ねていたのは誇張? 作中に出てくる短歌の、本当の意味は? などなど、史実と比べてみたくなりますよね。ここでは、そんな啄木の作品と人柄を知るためにオススメの入門本を紹介します。

1 「悲しき玩具」(280円文庫シリーズ-ハルキ文庫)

 はたらけど
 はたらけど猶(なほ)わが生活(くらし)楽にならざり
 ぢつと手を見る

 たはむれに母を背負ひて
 そのあまり軽きに泣きて
 三歩あゆまず

  • 教科書で目にした歌や、何かと引用される歌も多いので、読んでいくと「知っている」と思う作品も多いでしょう。平易な言葉で綴られた詩情あふれる作品は、読むだけで懐しく感じるかもしれません。31文字の中にその魅力がぎゅっと詰まった啄木短歌。啄木は100年以上前の時代を生きた人ですが、その作品は現代にも通じる切なさが閉じ込められています。
  • じっくり短歌を読むのに最初は慣れないかもしれませんが、そういう時は解説から読むのもアリです。この本では、枡野浩一さんが解説を書かれています。枡野さんの啄木への共感と愛がある、素敵な解説です。

2 「ローマ字日記」(岩波文庫

  • 啄木が23歳の時に、ローマ字でつけていた日記です。なんでわざわざローマ字で? と思われるかもしれませんが、内容を読めば納得してもらえることと思います。
  • 小説に挫折して書いたこの日記が、啄木の作品の中で、もっとも文学的だと言えるでしょう。エゴイスティックな内容の中にふいに現れる美しい情景、交流する文学者たちを的確に描写する筆力、そして文学への絶望と未練の気持ち。美化しようにも美化できない、そんな自分に絶望しても、毎日は続いていきます。啄木は自分のどうしようもない日常を、文学として昇華しようとしていたのかもしれません。
  • 学校や会社に行きたくない日に読むのがオススメ。

3 「ちくま日本文学33 石川啄木」(ちくま文庫


(2020-06-13 蓼食う本の虫 Webマガジン)

 

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