<東北の本棚>記憶から消し去った詩
『啄木断章』 碓田のぼる 著
- 「老将軍、骨逞(たく)ましき白龍馬」で始まる5連20行の詩は、1904年の日露戦争・沙河会戦で日本軍の勝利を歌う。啄木の第一詩集「あこがれ」や当時の全集には収録されておらず、05年の「写真画報」(博文館発行)に唯一掲載されていたのを34年、評論家の木村毅さんが発見する。
- なぜ啄木の残した著作物の一切に「老将軍」は出てこないのか。著者は啄木がこの詩をあえて封印したと確信し、「老将軍」前後に作られた「断章」を下に、啄木に降りかかった出来事と思想の変遷を解き明かしていく。
本の泉社03(5800)8494=1300円。
(2020-05-10 河北新報)