〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

賢治と啄木と心平

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ツクシイバラ

風土計

「(賢治は)将来、啄木ほど有名になる可能…」

  • 「(賢治は)将来、啄木ほど有名になる可能性がありますか」。そんな質問に、詩人の草野心平は困った。宮沢賢治の没後に発刊した全集を何とか売りたい、と在京岩手の人々に相談した時のことだ。
  • 「あります」と答えたものの内心、確信はない。「可能性があるなら、応援してもいいだろうけど…」と質問者。全く無名の作家の本を売る。その支援を、同じ岩手出身の人から得るのさえ楽ではなかったらしい。心平の命日のきょう、全集発刊の労を思う。
  • 今は何の富も生まないが、いつか必ず役に立つ。そう考える余裕が社会から失われて久しい。「同時代には、近すぎて全貌が目に入らない。でも100年、200年後には拝まれる人だろう」。金田一京助はそう賢治を評した。100年の時を経て、本当の価値が光を放ち始めるものもある。

(2019-11-12 岩手日報

 

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