〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い息づかいに触れてみたい

26歳で夭折した啄木 突出した個性を打ち出す

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ケヤキとカエデ

言ノ葉ノ箱    東 直子

 空に吸われる 

  • 岩手県で毎年行われている高校の総合文化祭「文芸祭」の講師として盛岡市を訪ねた。盛岡といえば、石川啄木が青春時代を過ごした地である。今を生きる岩手県の高校生らと対話をしつつ、啄木の歌を思い出していた。

不来方(こずかた)のお城の草に寝ころびて 
空に吸はれし 
十五の心
     石川啄木

  • この三行書きの短歌は、明治43年に発行された啄木の第一歌集「一握の砂」に収載され、時を越えて愛唱されている。草の上に寝ころべば、視界は空ばかりになる。思春期特有の自意識や戸惑いが、晴れた広い空に吸われるような心地がして、気持ちを落ち着かせることができたのだろう。
  • 26歳で夭折(ようせつ)した啄木の作品は、そのすべてが若いときの作品ともいえるが、「十五」歳という思春期の具体的な年齢を詠み込み、その心理を描くことで突出した個性を打ち出した。啄木と同じ26歳で亡くなった尾崎豊に「15の夜」という歌があるが、啄木の影響を受けているのだろう。(歌人・作家)

(2019-10-30 中國新聞

 

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