短歌甲子園 31文字が放つ輝き
- ふるさとの訛なつかし/停車場の人ごみの中に/そを聴きにゆく。短歌甲子園の舞台は早世の歌人、石川啄木を生んだ盛岡市。昭和薬科大付属高の生徒がふるさとを詠み、最優秀作品に輝いた。団体戦でも準優勝。帰県後に話を聞いた。
- 王者を退けたテーマは「流」。ふるさとへ投入されるカタカナの異物に着目した。青にサンゴ礁の碧が映える海、希少な生きもの。守りたいものたちを漢字で包んだ。相手校の教師が「迫力が桁違いでした」と脱帽したこの歌が、最優秀作品。
- 顧問の砂川亨さんは「沖縄の生活に根ざした歌をつくろう」と助言した。生徒が選んだ基地問題は賛否がある。「葛藤はあった。でも、僕の葛藤を押しつけたくない」。尊重された自主性が、沖縄を照らす言葉を生んだ。若き日の光と影を歌に投射した、啄木のように。(吉田央)
(2019-08-21 沖縄タイムス)
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