〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

啄木の妻・節子の真実を探る 『わが夫 啄木』

f:id:takuboku_no_iki:20190425154520j:plain

カナメモチ

郷土の本棚

『わが夫(つま) 啄木』鳥越碧 著


  発行 文藝春秋企画出版部 発売 2018年12月 
1,800円+税
  

  • 啄木の妻・節子を主人公とする小説。啄木の生涯は広く知られており、今日では節子に焦点を定めた研究も存在する。となれば、時代小説大賞で世に知られた著者の力が存分に発揮できるテーマだろう。
  • 序章を見よう。函館で死の床にある節子が夫・一と自分の生涯を思い起こし始めるのだが、そこに一の声が聞こえてくる。そう、もはや節子は人であることから離れつつあるのだ。
  • 初々しい初恋から、花婿のいない婚礼、石もて追われた渋民から函館へ。漂泊する啄木─。時系列に沿い回想は進む。恐らく最も腕のふるいがいがあったであろう宮崎郁雨と節子の関係やいかに。じかに確かめられたし。

(2019-04-21 岩手日報