[上野公園]
小社会
花見の風習が、広く庶民に行き渡ったのは江戸時代...
- 花見の風習が、広く庶民に行き渡ったのは江戸時代。貧乏長屋の大家と店子(たなこ)たちが花見に繰り出す落語、「長屋の花見」のようなドンチャン騒ぎが始まった。
- その後、明治も末期になると、桜の古木は枯れ、文学の上でも花見ははやらなくなった。石川啄木などは桜を歌っていないという。文学は孤独な個人の心に目を向け始めた。
- 現に花見となれば、ブルーシートを敷いて場所取りにいそしむ人がいる。現代の庶民には案外、一見平凡だが奥深い味わいのある、昔の一句が似合いかもしれない。〈さまざまのこと思ひ出す桜かな〉芭蕉。
(2019-04-04 高知新聞)
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