〖 啄木の息 〗

石川啄木の魅力を追い 息づかいに触れてみたい

「石川啄木」連載中、深夜までパソコンに向かう キーンさん

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[サンシュユ]

ドナルド・キーンさん 大好きな言葉遊び、自分の墓でも

 惜別 日本文学研究者のドナルド・キーンさん

  • 東日本大震災を機に日本国籍を取得した後、季節ごとに2年ほどインタビューに通った。ある穏やかな日、自宅そばの寺のお墓に案内された。前面にかわいらしい犬の絵が彫り込まれていた。絵に添えた「黄犬」の漢字は「キーン」と読む。子どもの頃に飼っていた犬がモデル。楽しくなって一緒に笑った。
  • 研究者としての厳しさは公では見せなかったが、評伝「石川啄木」(2016年)を連載中、深夜まで集中してパソコンに向かっている、と養子の誠己(せいき)さんから聞いていた。
  • いつも柔らかな笑顔で迎えてくれたが、戦争や改憲の動きには表情が険しくなった。戦時下のアッツ島で見た玉砕の光景が反戦主義者にした。
  • 忘れられないキーンさんの言葉がある。「憲法9条のすばらしさは、戦後の日本が一人の戦死者も出していないことに表れています。70年の長きにわたって平和であったことは、歴史を振り返っても、とても珍しいことです」(中村真理子

    2月24日死去(心不全) 96歳

(2019-03-16 朝日新聞

 

ドナルド・キーンさん 大好きな言葉遊び、自分の墓でも:朝日新聞デジタル