[ウメ]
日本を愛したドナルド・キーンさん 原点は源氏物語と兵士の日
AERA 2019年3月11日号
- 「戦後、日本文学が国際的に評価されていく時期に、サイデンステッカーなど、日本文化研究の第1世代の人たちが非常に大きな役割を果たしました。その中で最も重要な存在だったのが、キーンさんだと思います」そう語るのは作家の平野啓一郎さんだ。平野さんは、生前のキーンさんが「若い作家で、私と仲のいい唯一の人です」と言うほどの間柄だった。
- キーンさんは97年の朝日新聞の取材に、こう語っている。太平洋戦争が始まると『源氏物語』を読みたい一心で、海軍日本語学校に入学。戦時中は通訳士官として日本語文書の解読に従事する。このとき日米が激しく戦った、ガダルカナル島で押収された兵士の日記も読んだ。
- 「日本文化の精髄としての『源氏物語』と、一般の人たちが死に直面しながら書き綴った生々しい声。その両極の言葉のあいだで日本文学を捉えていたので、キーンさんは川端康成のような美しい日本語というだけではない、大岡昇平や三島由紀夫、大江健三郎さんといった、実存を問うような戦後日本文学も読むことができたんだと思います」と平野さん。
- 「評伝では『石川啄木』が素晴らしかったですね。非常にフェアに書かれていると同時に、人間的に破綻しながらも才能がある、啄木という人間の魅力が多面的に描 かれていました。『私と20世紀のクロニクル』は、キーンさん自身の人生とともに、谷崎潤一郎や川端康成など作家たちとの交流もよくわかる本です」 (ライター・矢内裕子)
(2019-03-06 AERA)
日本を愛したドナルド・キーンさん 原点は源氏物語と兵士の日記 (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)
日本文学を世界に伝え、日本を愛した「ドナルド・キーンさん」博識と現場体験
(週刊新潮 2019年3月7日号掲載)
https://www.dailyshincho.jp/article/2019/03060650/?all=1